愛知立てもり事件で明らかになったSATの実力
愛知県の立てこもり事件がひとまず解決しましたね。
結果は最悪とも言えるものでしたが・・・。
以下抜粋です。
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愛知県長久手町の元暴力団組員、大林久人容疑者(50)が人質を取って自宅に立てこもり、拳銃を発砲して県警機動隊特殊急襲部隊(SAT)隊員の林一歩(かずほ)警部(23)=18日付で2階級特進=ら4人を死傷させた事件で、県警は18日午後8時48分、自宅から出てきた大林容疑者の身柄を確保、殺人未遂容疑で緊急逮捕した。事件は発生から約29時間ぶりに解決した。人質となっていた大林容疑者の元妻、森三智子さん(50)はこれより前の同2時51分、自力で脱出、保護された。
調べでは、大林容疑者は17日午後4時10分ごろ、自宅敷地内で、木本明史巡査部長(54)、長男健人さん(25)、次女里紗さん(21)に発砲して頚椎(けいつい)損傷や右肺損傷などの大けがをさせ、殺害しようとした疑い。調べに対し、3人への殺意を否認しているという。このほか、同9時25分ごろ、林警部を撃って出血性ショックなどで死亡させたとして、殺人容疑でも立件する方針。県警は愛知署に特別捜査本部を設置した。
大林容疑者は18日午後8時半過ぎ、捜査員の説得に応じ、自宅から外に出た。液体の入ったペットボトルと荷物の入ったポリ袋を手にしばらく、捜査員と話し合っていたが、同8時48分、一斉に駆け付けた捜査員に身柄を確保された。身柄を愛知署に移し、事情を聴いている。調べでは、大林容疑者が発砲したのは計8発で、▽木本巡査部長に2発▽健人さん、里紗さんに各1発▽木本巡査部長の救出時に4発――だったという。
調べや愛知県によると、森さんは05年11月、愛知署へ大林容疑者の家庭内暴力などについて相談に訪れ、県女性相談センター(名古屋市)に保護された。05年12月半ばからは県内の別のシェルター(避難所)に移り、06年6月に離婚した。しかし、17日に家族全員で復縁などについて話し合い、その最中に大林容疑者が激高、拳銃を持ち出して暴れたため、家族が110番したらしい。県警は森さんとの間のこうしたトラブルが事件の動機とみている。
立てこもりの間、大林容疑者は里紗さんと話をすることを求めたが、自分が銃撃した健人さんの容体を気にかけたからだという。また、報道機関を通じて事件について説明することも求めていたという。
一方、森さんは18日午後2時50分ごろ、大林容疑者の電話中に「便所に行きたい」と言い、大林容疑者が事務室として使っている自宅東側の建物の北西角のトイレの高窓から脱出、包囲していた捜査員に保護された。左目付近に軽い打撲を負っているが、健康状態はいいという。
(Yahoo!ニュース―毎日新聞より)
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さて、ニュースなどでも多く言われているように、今回の警察の対応には「?」がいっぱいです。
まず、なぜ腹部を撃たれて倒れている警察官を5時間近く放置したのか。
近づいたら撃たれるから危ないという理由なのか、人質のことを考慮してなのか。
僕はどちらにしてもそこは自分たちの仲間を最優先すべきだと思う。
撃たれてもなお人質を優先するとなると、僕ならそんな職場では働きたくない。
警察官にとって国民、つまりは一般市民は大事な“お客様”なのかもしれないけど、それよりも優先していい人は仲間だと、僕は思います。
腹部を撃たれて数時間放置された木本明史巡査部長はどういう気持ちだったでしょう。
次にSATの情けなさです。
亡くなった方がいらっしゃるので言いにくいのですが、実際この程度の事件でSATという特殊な訓練を受けていると思われる部隊から殉職者が出ること自体が情けないのです。
これは亡くなった林一歩警部を非難するものではありません。
僕はSATと警察全体を批判しているのです。
現場で見ていたわけではないので誰の責任か特定はできませんが、鉄砲の射程距離や犯人の視野などを考えれば、どこにいたら弾が当る可能性があるかは簡単に分かるはずです。
今回被弾したことを、「不運」のように報道するマスコミもありますが、僕は危機管理の欠如だと思っています。
だってあの現場は、すでに被弾者がいて、いつ犯人が発砲してもおかしくない状況だったのですから。
しかもそのタイミングは、倒れていた木本巡査部長を助ける時。
犯人がそのタイミングで発砲してくる可能性が高いことは素人でも分かります。
その、想定内のタイミングでの発砲で被弾していまったことは、本当に情けないことだと思います。
SATは一から編成・訓練し直した方がいいのではないでしょうか。
最後に最大の疑問点です。
それは、人質がいなくなったあと、なぜすぐに突入しなかったのか。
報道によると、それからもずっと説得を続けていたようです。
一体何なのか。
結局説得に応じて出てきて事件は終わったわけですが、その説得に何の意味があったのか分かりません。
さっさと突入して終わらせればよかったのではないでしょうか。
それとも、SATを突入させればまた身内に死傷者が出るとでも考えたのでしょうか。
だとしたらSATは、警察内部からも信用のない組織だったということになります。
一体SATとは何なのでしょう。
訓練を受けた部隊なら、人質がいない状態の立てこもり事件を、死傷者ゼロで終わらせることくらい簡単なように思えるのですが・・・。
ていうかそれくらいできないと意味がありません。
アメリカのSWATレベルになれとはいいませんが、せめて日本でも起りうるくらいの犯罪には対応できるレベルであって欲しいものです。
そして、最優先すべきは仲間、そして善良な市民であり、犯人の命なんて無視するくらいの気持ちで事件を解決して欲しいと思います。
全てを守ろうとするものは、多くのものを失うのです。
最後になりましたが、この事件で亡くなった林一歩警部のご冥福をお祈り申し上げます。
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コメント
>p38さん
なるほど。最初に撃たれた時にはそんな状況だったのですね。確かに彼が撃たれていなかったら状況は違っていたかもしれませんね。
でも人質に「拳銃はオモチャです」と言われたら信じてしまう気持ちも分からなくもないですね。まさか人質が犯人をかばうような発言をするとは思いもしなかったのでしょう。
>やすやすさん
そうですね。僕もそう思います。突入すると人質が危ないのは分かりますが、狙撃という手段もあるわけですし、何らかの決断を早く下して欲しかったですね。
投稿: 健ちゃん | 2007年5月20日 (日) 19時46分
5時間放置はひどかったですよね・・・死ななかったからよかったようなもので・・・でも、撃たれた人がいるんだから、強行手段で一気に攻撃しに行くべきだったと思うんですけどね・・・
投稿: やすやす | 2007年5月20日 (日) 00時17分
警察の対応で一番批判されるべきことは、最初に撃たれた警察官の行動では?人質の女性が「来るな」と言っていたのに踏み込むし。「拳銃はオモチャです」という人質の言葉をそのまま信用したのかな?だとしたら、この警察官、銃を相当ナメているとしか思えん。そもそもこれば無ければ、SAT隊員が死ぬことも無かった。
投稿: p38 | 2007年5月19日 (土) 11時47分