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2009年6月13日 (土)

宮台真司『日本の難点』

を読んだ。

 

久しぶりの新書。社会学者の著者が、人間関係について(第1章)、教育について(第2章)、幸福について(第3章)、アメリカについて(第4章)、日本について(第5章)つらつらと書き綴っていた。

なかなか面白い部分も多かったが、全体的に学問的過ぎるというか、表現がいちいち専門的な言い方になっていてうっとおしかった。専門家ってのはわざわざ難しい言い方に言い換えるんだ。きっとその分野の人間にとってはその方が便利なこともあるんだろうけど、僕にはさっぱり分からない表現も多くて困ってしまった。

でも本当に良いことを言っている部分もたくさんあった。例えば「いじめ」についての部分。

 

人の「尊厳」を傷つけ、そのことで「自由」を奪ってしまうのが、なぜいけないことなのか。それは「理屈」ではありません。「社会の中で人が生きる」ということを支える前提です。なぜそんな前提があるのか、誰にも分かりません。

だから「ダメなものはダメ」なのです。「みんなが言うからダメ」とか「誰かをいじめれば君もいずれはいじめられる」なとど説教するのはクダラナイ。

~宮台真司『日本の難点』より~

 

僕はいじめっ子であった経験があるけど、いじめをやめた理由は、「先生が怖かったから」だ。正義に目覚めたわけでもなければ、本気で反省したわけでもなく、もうこれ以上、先生に説教されるのが嫌になったから、僕は人をいじめるのをやめた。

もちろんこれは当時の思いで、今は心の底から当時の僕の愚行を反省しているけれど、でも小学生とか中学生はそんなにいい子じゃない。いくら論理的に説き伏せようとしたところで、そんなの関係ねぇと言わんばかりに先生を無視していじめを続行するんだ。だからそんな奴らにしてやらなければならないことは、ガツンと上から言ってやることなんだと思う。「なんでダメなんですか?」って言ってくるだろう。それに論理的に答える必要なんてない。「ダメなものはダメ」でいいんだ。論理なんてクソ食らえだぜ。

僕の当時の先生はそういう先生だった。論理で説き伏せるなんてことはせず、自慢の巨体で相手を圧倒し、何も言わずとも悪い事をした生徒が反省してしまうような雰囲気があった。それはまるで脅しているようにも見えたかもしれない。でもきっとあれが正しい姿勢だったんだ。どんな手を使ってでも、守るべきは弱者なのだから。

 

あともう1つ紹介したい。これは「なるほど」と思った。

 

社会学者の二クラス・ルーマンは「おかしなことは何も起こりません」という期待を「慣れ親しみ(安心)」と呼び、「いろいろあっても大丈夫です」という期待を「信頼」と呼びます。「安心」は脆弱ですが「信頼」は強靭です。対面コミュニケーションは「信頼」をベースにするべきです。

~宮台真司『日本の難点』より~

 

薄っぺらい、表面的な友人関係ってのはこの世界には溢れていて、とてもつまらない。ただ携帯電話のメモリーに登録されているだけの友人。中身のない会話。とりあえず「あの子と仲良いよ~」と言っておく。くだらない。きっとそういう関係は、「一緒にいてくれる」という安心だけのために維持されているもんなんだ。「いろいろあっても大丈夫」という信頼はそこにはないんだろう。何かが起これば崩れる。でもそんな関係の間に、“何か”が起こることなんて、もしかしたらないのかもしれないけどね。

幸い僕は友人が少ないから、広く浅くタイプにはなりようがない。意図しなくても狭く深くになっていき、それは「信頼」を築きやすいということだ。だからきっと僕の人間関係は強靭なはずだ。

みんなが「信頼」に基づいた人間関係を構築することができれば、年間3万人以上の人が自殺するこの社会を変えることができるんだと思う。どうやってそれを実現するかは知らないけど。携帯電話禁止令でも出すか。

 

つまらない部分も多かったけど、全体的にはそれなりに面白い本だった。まぁお勧め。

 

日本の難点 (幻冬舎新書) Book 日本の難点 (幻冬舎新書)

著者:宮台 真司
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ではまた。

 

 

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