« 酔っ払いの戯言 | トップページ | 恩田陸『ネクロポリス(上)』 »

2009年7月 1日 (水)

クタクタボーイ

Photo 今日は朝から会社へ行き17時半まで働いて帰って来た。

 

帰りのバスに乗り込むと、座席はすでに先客で埋まっていた。僕は前乗りのバスの、前の方につり革を持って立つことにした。僕の前には中年の女性が買い物袋を持って座っていた。左手側には誰もおらず、背後にはケツをはみ出した金髪の若い女性。右側には高校生らしき青年が立っていた。この青年が実に辛そうだった。立ちながらゆらゆらしており、今にも眠ってしまいそうだった。背中にはパンパンに膨らんだリュックを背負い、ラケットケースを肩に掛けていた。きっとバドミントン部に所属しており、朝練・昼練・放課後練でクタクタだったんだろうと思う。

しばらくした時、僕の目の前に座っていた女性が降車ボタンを押した。隣にいた青年がうなだれたように見えた。「そっちかよ・・・」と、彼の心の声が聞こえた。バスがバス停に着くと、車のちょうど真ん中あたりにあるドアが開き、僕の目の前にいた女性が席を立って降りた。さすがに僕が座るのは気まずいと思い、その女性がドアに向かうのに乗じて、僕はバスの後ろの方へ移動した。青年とすれ違うときにチラっと彼と目を合わせ、「お前が座れよ」と、僕は伝えたつもりだった。そして僕は、青年の左隣から右隣へと移動した。すると青年は、空っぽになった席を見つめた。見つめて、ピクっと動いた。その時。新たに乗ってきた乗客の一番手(またしても中年女性)がすかさずその空いている席に座ったのだ。青年の心境を察し、僕は心の中で「ドンマイ」と囁いた。その後も青年はバスの揺れに合せて右へ左へ大きく揺れた。つり革を掴んだ腕に顔をうずめ、もしかしたら寝ていた瞬間もあったかもしれない。その彼の前では、まんまと座席を奪い去った女性が携帯メールを一生懸命打っていた。おそらく彼女は青年の極限状態には気づいていなかっただろう。

またしばらくして、バスがバス停に止まった。その時、一番前の左側の座席の客が席を立った。青年はしばらくそのことに気づかなかったが(彼は顔を腕にうずめてゆらゆらしていたから)、ふと顔を上げると前の席の空席に気が付いた。そこからの彼はさっきとは違っていた。何らかの変化を成長と呼ぶなら、これが成長だろう。まるで獲物に狙いを付けた猛獣の如く、その座席を確保した。ただ、その“気づき”から“着席”までの動作は、少し大袈裟過ぎたようだった。さっきまで彼の目の前にいた中年女性は携帯メールを打つのをやめ、目をまん丸と開いて、やっとのことで席に座ることができた青年をじっと見つめていた。その目はまるで、「何この子。若いのに座るのに必死じゃない」と言っているかのようだった。僕は思った。お前のせいじゃーいっ!

 

 

ではまた。

 

☆★本日の英語★☆

I get the feeling everything was finished from the start

~ALLISTER『D2』~

《訳》始めからすべてが終わっていたように感じるときがある

 

 

|

« 酔っ払いの戯言 | トップページ | 恩田陸『ネクロポリス(上)』 »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/146160/30359834

この記事へのトラックバック一覧です: クタクタボーイ:

« 酔っ払いの戯言 | トップページ | 恩田陸『ネクロポリス(上)』 »