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2009年7月 7日 (火)

荻原浩『コールドゲーム』

を読んだ。

 

なかなか面白かった。中学生時代にクラス全員からいじめに遭っていた少年が、4年後に当時のクラスメイトに復讐する話。ネタバレになりそうだからこれ以上は言えない。ようするにサスペンスだ。

 

ラストの方を読んで、僕はまたいじめっ子だった頃の自分を思い出した。そして、いじめていた彼を思い出した。僕だって復讐をされておかしくない人間なのだ、と思った。そう思うと怖くなった。彼は今何をしているんだろう。元気なのだろうか。僕のことを覚えているんだろうか。きっと覚えているだろう。ばったり僕に会ったら彼はどうするだろうか。話し掛けてくることはないだろう。僕は当時のことを猛烈に反省しているが、それを彼に伝えたことはない。だから彼にとって僕はいつまでも、“いじめっ子のクソ野郎”のはずだ。

中学卒業時に彼と僕がどのような関係だったのか、僕は全く覚えていない。彼と接するのは中学1年の時にやめた――と思う――のだが、それ以降僕が彼と接触していたのかどうかがまったく思い出せない。廊下ですれ違うときにちょっかいを出していたのかどうか、などといったことだ。思い出せない。積極的に絡んでいたことはない、とは思うのだが。高校時代などは何度か近所で見かけることもあったが、僕が引っ越してしまってからはただの一度も会うことはなかった。僕が忘れてしまってもきっと彼は覚えているだろう。認識というものは人によってまったく異なる。だから僕が、「いじめは中1でやめた」と思っていても、彼は「中学3年間ずっといじめられていた」と思っている可能性は十分にある。そうならなお更彼は僕を忘れないだろう。僕は小学校から中学まで彼に本当にひどいことをした。おそらく、――これも結局は僕の勝手な記憶なのかもしれないが――クラス全員を巻き込んでっていういじめではなかったから、きっと恨まれているのは僕だけだ。

こんな僕は一体どうしたらいいんだろう。『コールドゲーム』では、「忘れずに考え続ける」ということを誓っていた。もちろん僕だって忘れない。忘れずに、何とか、いじめが限りなくゼロに近づくように、弱い者の味方になってあげたい、とは思っている。肉体的、精神的、社会的弱者の味方でいられるようにと、いつも考えているつもりだ。

うーん・・・。今さらこんな都合のいいこと言うのは絶対ズルイな・・・。きっと僕は、取り返しのつかないことをしてしまったんだ。背負うしかねぇんだな、このことは。逃げるつもりもないけど、逃げられるものでもないんだ。

 

『コールドゲーム』。

いじめの経験があるなら覚悟して読んだ方がいい。今が幸せならもしかしたら読まない方がいいかもしれない。背負ってしまったモノを忘れるってのは、幸せに生きる上できっと重要なことのような気もするし。あるいは軽く考えることができるなら読んでもいいかもしれない。そのへんはよく分からない。

 

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とにかく、僕は分かってしまった。

 

過去は取り消せないし、生きるには覚悟が必要だ。

 

 

ではまた。

 

 

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