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2009年11月 7日 (土)

垣根涼介『ワイルド・ソウル(上)』

を読んだ。

 

これは久しぶりにめちゃくちゃ面白い小説だ。

まずテーマがいい。南米へ移住した日本人たちの苦労と、当時の外務省への怒り。そしてその復讐。

この南米への移住計画ってのは、戦後、とにかく人口を減らしたかった日本政府が実際に行った“政策”みたいだ。全然知らなかった。この小説を読まなければ、僕はそのことを一生知らずに生きていくところだった。きっとこのことは、僕たちが知っていなければならない事に含まれる。政府の悪巧みは、どんどん世間に広めなければならないのだ。

教えてくれてありがとう、垣根涼介さん。

登場するキャラクターもいい。話の展開の仕方も面白い。文庫本の帯によると、「大藪春彦賞」「吉川英治文学新人賞」「日本推理作家協会賞」を獲っていて、これは史上初の三冠なんだそうだ。読めばそれもうなずける。

さらにこの小説のいいところは、僕が気に入りそうな台詞がたくさんあることだ。そう、伊坂幸太郎の作品のように、登場人物がなかなかいいことを言うのだ。

 

「おれの国じゃあ、金のないやつはないなりだ。服装も住む家もそうだ。それでけっこう笑って暮らしている」のんびりと男は言う。「だがこの国の連中ときたら、どいつもこいつも飾り立て、少しでも自分をよく見せようと躍起になっている。それがまた、貧乏臭い」

~垣根涼介『ワイルド・ソウル』より~

 

ここでの「この国の連中」とは、もちろん僕たち日本人のことだ。僕はこの一文を読んだとき、本当だ、その通りだ、と思った。笑顔がない国とは思わないが、その豊かさをキープするために必死だ。そのために死んだりもする。でも決して水準は落とさない。変な国なのだ。

とはいえ、日本はいい国だと思う。生まれ変わっても日本人に生まれたいと思う。ただその「いい国」と言われることをいいことに、裏で自分勝手やってる奴がいるのはよろしくない。しかもそいつらが、誰かを不幸にしているのであれば、それは決して許されることではないのだ。

誰かの犠牲の上にしか成り立たない平和や豊かさなんて糞食らえだ。

 

ワイルド・ソウル。是非読んでください。

僕はこれから下巻を読みます。

 

 

ではまた。

 

 

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