« ゾロの手足は温かい | トップページ | 心チキンと行動チキン »

2010年1月14日 (木)

宮部みゆき『理由』

を読んだ。

 

一言で言えばミステリー小説である。

とある高層マンションの一室で起きた殺人事件の真相を、事件が解決した“現在”の視点から解き明かしていくという、少し変わったものだった。

たぶんテーマは、広く言えば「家族」。とある登場人物の台詞で、この小説を象徴するものがあった。それが、「あんたも、こんな家を出ていって、親兄弟のことなんか忘れて、自由に暮らしたいと思うことある?」だ。とにかくこの小説では、問題だらけの家族がたくさん出てくる。問題だらけの家族だらけなのだ。

読んだ感想は、まったく面白くなかった、だ。ただ長いだけで、普通長い小説になるほど終盤が面白いものだが、これは最初から最後まで面白くなかった。読むのに結構時間がかかったから、その分ものすごく損をした気分になった。

 

僕にとって宮部みゆきは二作目だった。僕にとっての一作目は『蒲生邸事件』で、これもあまり好きではなかったのだけど、一つの作品だけでその人を判断するのはどうかと思い、無難に直木賞受賞作の『理由』を手に取ったわけだ。それが『理由』を読んだ理由というわけだ。

その結果がこれだから、しばらく宮部みゆきを読むことはないだろう。

さよなら宮部みゆき。

 

とはいえ、折り目をつけたページが2ページだけあった。その内の、ほほぉ、と思った一文を紹介。

 

(前略)いつか国語の先生が、人間には「見る」というシンプルな動作はできないのだと言っていたことを思い出した。人間にできるのは、「観察する」「見下す」「評価する」「睨む」「見つめる」など、何かした意味のある目玉の動かしだけで、ただ「見る」なんてことはできないのだという。

~宮部みゆき『理由』より~

 

これは面白い。たしかにそう考えてみると、本当にそうなのか、という気がしてくる。

「目のやり場」に困るという状況が存在するということは、僕たちがただ「見る」ということができないからこそだ。

 

このように、面白くない小説の中にも、面白い何かがある。

100%悪の人間や100%善の人間がいないように、100%つまらない小説もないということだ。

 

 

ではまた。

 

 

|

« ゾロの手足は温かい | トップページ | 心チキンと行動チキン »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/146160/32989027

この記事へのトラックバック一覧です: 宮部みゆき『理由』:

« ゾロの手足は温かい | トップページ | 心チキンと行動チキン »