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2010年2月 1日 (月)

竹山道雄『ビルマの竪琴』

を読みました。

 

結構面白かったです。

大東亜戦争の終戦をビルマで迎え、イギリス軍の捕虜となった日本陸軍の部隊の話。特別な任務を任されて収容所に入らなかった一人の兵士がいて、彼は日本に帰らない決意をして隊を離れる。彼はなぜ戦争が終わったのに日本に帰らなかったのか。それが徐々に明らかになります。いい話なのです。

ちょっと『悼む人』(天道荒太)と共通するところがあるかもしれません。ネタバレになるのはよくないので詳細は書きませんが。

 

ビルマは平和な国です。弱くまずしいけれども、ここにあるのは、花と、音楽と、あきらめと、日光と、仏様と、微笑と・・・・・・。

~竹山道雄『ビルマの竪琴』より~

 

僕はこの文章がとても気に入りました。どこが気に入ったかというと、「あきらめ」がどこか肯定的に捉えられているところです。「あきらめ」は僕が生きてきた経験上、決して好まれる言葉ではありません。

「あきらめたらそこで試合終了ですよ」に象徴されるように、「あきらめ」は敗者を連想させます。

ところが「平和」という観点から「あきらめ」をみてみると、全然違ってきます。あえて敗者という言葉を残して想像してみましょう。「あきらめ」のある世界。「あきらめ」が認められている世界。それはつまり、敗者が存在している世界。敗者が存在してもいい世界なのだと思います。それを平和と呼んで悪いことはないでしょう。

多くの先進国のように、勝者と敗者をくっきりと分けて、勝者が敗者をいじめる世界。勝者が敗者を騙す世界。勝者が敗者から搾取する世界よりも、全員敗者でいいから自然や音楽や宗教を大事にする世界の方が、「平和」というものに近いと思いました。

ただこの小説はフィクションなので、本当にビルマという国が平和かどうかは分かりません。当時と今も違うでしょうし。ただ、考え方の問題ですね。

平和とは何なのか。生きるとは何なのか。死者とは何なのか。

そういうことを考えさせられた小説でした。

 

短くて読みやすいし、お勧めです。

 

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ではまた。

 

 

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