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2010年2月 9日 (火)

近藤史恵『サクリファイス』

を読みました。

 

結構面白かったです。

この小説は自転車ロードレースのチーム・オッジというチームの話です。ロードレースの面白さを知ることができますし、青春小説、あるいはサスペンスとしても面白いものになっていると思います。第5回本屋大賞第2位、大藪春彦受賞作でもあります。お墨付きというわけです。

 

そもそもこれを買ったのは、『Story Seller』でこのチーム・オッジの短編を読んだからです。これが結構面白かったので、買ってみました。そしたら大当たりです。しかも僕が思うに、『Story Seller』の1・2を読んでからの方が楽しめます。

しかも3月には続編が出るようです。正直続編が必要だとは思いませんが、おそらく読んでしまうのでしょうね(笑)

 

話が変わりますが、この小説がきっかけで僕はロードレースに興味が出てきました。

ロードレースというのはとても特殊なスポーツだと思います。個人競技のようで団体競技。団体競技のようで個人競技。チームにはエースとアシストという役割の人がいて、エースはアシストをある意味で犠牲にし勝利を目指し、アシストは初めから勝利などは目指さない。アシストはエースを勝たせるために走るのです。エースがパンクしたらアシストは自分のホイルを差し出すのです。

さらに面白いのは、ロードレースには敵との間にも暗黙の了解、あるいはマナーと呼べるものがあるのです。例えば、マラソンのようにロードレースも集団を形成して走るのですが、空気抵抗を多く受けるその先頭は、敵味方関係なく順番に受け持つのです。集団の先頭を走ることを「前を引く」と言うようなのですが、その集団にいる人は順番に前を引くというわけです。入れ替わり入れ替わり。本当なら敵に前を引かせた方が楽で有利になるはずです。でもそうはしません。それはマナー違反だからです。紳士的でないからです。ただ、自分のチームのエースには前を引かせません。消耗するからです。その代わりにアシストが前を引き、代わりに消耗するのです。

マナーは他にもあるようです。ロードレースにはツアーで行われる大会があるのですが、1つ1つのレース(ステージ)と、その総合タイムの両方で競うことになります。総合で勝てるのは強い選手で、それに勝てない選手は1つのステージで力を出し切って勝つのですが、総合で優勝を狙うような選手は、ステージ優勝は狙わないのだそうです。総合で勝って、さらにステージでも勝つなんてことは、卑しいというか贅沢というか、そこは譲ってやれという考え方があるそうなのです。ここがとても面白いと思いました。

ただ人と争うだけでなく、時には人と協力し、時には人を犠牲にし、あるいは自分を犠牲にし、ゴールを目指すのがロードレースというもののようです。

なんだかとても魅力的なスポーツに思えるのです。僕には。

なかなか日本では観る機会はありませんが、いつか観てみたいスポーツの1つとなりました。

そういう点でも、この小説はお勧めです。

 

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著者:近藤 史恵
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ではまた。

 

 

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