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2010年3月14日 (日)

山下貴光『屋上ミサイル(上)』

を読みました。

 

いやー、これめちゃくちゃ面白いですよ。

話としては、4人の高校生がたまたま昼休みに屋上で鉢合わせたことで「屋上部」なるものを結成し、それから屋上に持ち込まれる様々な問題を解決していくというもの。

まず何がいいって、タイトル。『屋上ミサイル』というタイトル。これだけでちょっと読んでみたくなりましたもん。

あと設定。「屋上部」なんて馬鹿馬鹿しい設定が出てくる小説は素敵です。

さらにキャラクター。これこそがこの小説の最も面白い部分だと思うのですが、キャラクターが本当に最高です。クスクス笑う台詞が満載なのです。中でも屋上部の創立者である国重嘉人。彼はいわゆる不良少年なのですが、実に爽快な性格で、行動力もあるしその台詞が実に面白いんです。

例えば、これは屋上部が結成されるときのエピソードですが、唯一の一年生部員である平原啓太が屋上に突然現れて、フェンスを登りだした(自殺を思わせる)時に国重が平原に言う台詞です。

 

「おい、お前」国重が乱暴に声をかける「登ることが目的なら、山にしろ。フェンスに登っても誰も誉めてくれねえぞ」

 

次はその直後に屋上部の創立を国重が宣言した後の台詞。

 

「屋上部の活動内容は?」とわたしは訊いている。

「屋上の平和を守る」

「世界の平和じゃなくて?」

「世界の平和を祈るのは人間だけですけど、それを実現できるのは、きっと人間じゃありませんよ」と平原が溜め息のような声を出した。

「世界なんてどうでもいいっつうの」国重が不満げな顔をする。「世界を救う気なんてさらさらねえ。俺たちが守るのは、屋上だって」

 

次は、とあるトンネルで起こる怪奇現象を確かめるべく一人で真っ暗なトンネルの中へ入っていった平原に「俺たちはここで待ってる」と言った直後、トンネルへ自分も入っていこうとする国重が言った台詞。

 

「じゃあ、俺も」と国重が足を踏み出そうとするので、「ちょっと」とわたしは止める。「何だよ」と彼が振り返った。

「どこへ行くの?」

国重は何も言わずにトンネル内を指差す。

「待ってるんじゃないの?」

「人間はよ」国重はなぜか残念そうだった。「面白そう、っていう誘惑に負けるだろ。それは仕方のないことだろうが」

「負けたんだ?」

「完膚なきまでに」と言った国重は本当に楽しそうだった。「手も足も出なかった」

 

じゃあ最後にもうワンシーン。これはとある人物を探して、手に入れた情報をもとに和菓子屋を訪れたときのエピソード。そこの店主である水谷が重要な情報を持っていそうだが、教えて欲しければ「ワン!」と言え、と条件を出される。しかし国重は躊躇することなく「ワン!」と叫び、無事に情報を手に入れて帰ろうとしたときのシーン。

 

「ちょっと待て」水谷が止め、腰を屈めてガラスケースのドアを開けた。「和菓子屋に来て、団子を食わない、っていうのはどういう了見だ」手早く皿の上に草団子やみたらし団子を並べていく。「奢りだ。食べて帰れ」

「どうしてだよ」

国重が気味悪そうな顔をする。

「犬の真似なんてさせて悪かったな。嫌いじゃないよ、君みたいな若者は」

けっ、と国重が口の端で不満を弾けさせる。しかし、「俺も嫌いじゃねえよ」と言った時には笑顔を浮かべていた。「団子をくれる大人は」

 

ここで紹介したものはほんの一部です。他にも「お~!」と思わせる台詞や、クスクスと笑ってしまう粋な台詞がたくさんありました。

そしてストーリーも上巻の終盤で急展開。下巻もまた楽しみです。

これはかなり楽しみな作家に出会った気がしています。

 

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超オススメ!

 

 

ではまた。

 

 

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