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2010年4月10日 (土)

伊坂幸太郎『オー!ファーザー』

を読みました。

 

なかなか面白かったです。所謂、伊坂幸太郎っぽい作品だったと思います。

これは、4人の父親を持つ高校生の話です。全然タイプの違う4人の父親が、一人の息子を愛し、干渉するお話です。それぞれの特性を活かしながら息子を助けるのです。ある者はクイズ番組で1000万円を獲得し、またあるものは鞭で高圧線を滑り降ります。どうです、ワクワクするでしょう。これが伊坂幸太郎。『陽気なギャング』シリーズと同じ雰囲気を持つ作品だったと思います。

やはり魅力はキャラクター。この個性的過ぎる父親4人に、どこか冷めた主人公。このバランスが絶妙でした。また、主人公の友人たちもいい感じの味を出すのです。何度もクスクス笑いさせられました。

キャラクターの良さに関連して、この作品では伊坂幸太郎らしく、格言めいた台詞がたくさんありました。気に入ったものをいくつか紹介します。

 

「俺たちは賭け事が好きなだけで、負けたら負けたでどうにか楽しめるもんなんだ。選挙だとか政治に躍起になってる奴らは絶対に負けたくないみてえだからな。いかさま使ってでも、勝ちたがる。負けを許容できない奴らってのは、品がねえよ。

~伊坂幸太郎『オー!ファーザー!』より~

 

これはギャンブル好きなアホ親父の言葉。

「負けを許容できない奴らってのは、品がねえよ」

まったくその通りだと思います。だからこの世界は品がないんですね。

 

 

『人が生活をしていて、努力で答えが見つかるなんてことはそうそうない。答えや正解が分からず、煩悶しながら生きていくのが人間だ。そういう意味では、解法と解答の必ずある試験問題は貴重な存在なんだ。答えを教えてもらえるなんて、滅多にないことだ。だから、試験にはせいぜい、楽しく取り組むべきだ』(後略)

~伊坂幸太郎『オー!ファーザー!』より~

 

これは大学教授のアホ親父の言葉です。

もし万が一、僕に将来息子ができて「試験なんて何で受けなきゃいけねぇんだ!」とほざいたら言ってやろうと思いました。

 

 

「あのな、大人の役割は、生意気なガキの前に立ち塞がることなんだよ。煩わしいくらいに、進路を邪魔することなんだよ」

~伊坂幸太郎『オー!ファーザー!』より~

 

これはまたギャンブル好きなアホ親父の言葉です。

アホっぽいでしょ?でも僕はけっこうこれ、その通りだと思います。ていうか、そうするべきなんじゃないかと。子どもの意見を尊重するから教育が乱れる。子どもに人権を与えるから授業が成り立たなくなる。そういう面も少なからずあると思います。

また、ちょっと違う話をすると、僕に万が一金田一、息子ができたら、絶対に負けません。何をするにも絶対に勝ちます。本気で勝負して負ける日が来るまで、負けません。そんな決意をしています。「大人なめんな!」ってことです。

 

 

(前略)

「でも、高齢化が進むと、俺たちみたいな若い奴らの負担が増えるらしいじゃないか。年金もそうだし、不安なことばっかりだ」

「そうだな」悟があっさりと認めた。「おまえやその次の世代はきっと大変だろうな。いいことなしの、負担ばっかりだ。ただ、そのうち落ち着く。由紀夫の次の次の次の世代くらいになれば、住みやすくなっているかもしれない。人口密度も落ち着いて、社会保障のバランスも整っている。このまま人口が増え続けるよりは、健全だ」

~伊坂幸太郎『オー!ファーザー!』より~

 

これは大学教授のアホ親父と主人公の会話です。

人口密度をもっと小さくしたい僕とまったく同じ意見だったので、さすが悟さんだ、と思いました。

 

 

こう、自分で付けた折り目を辿ってみると、 格言めいたことをいうキャラは決まっていたのですね。ギャンブル好きなアホ親父の鷹と、大学教授のアホ親父の悟。女好きなアホ親父の葵とガタイ良すぎ中学教師のアホ親父の勲はあまりこういった台詞はなかったのですね。でもあの二人は雰囲気が良かったです。

いずれにせよ、この4人の親父は大活躍します。アホっぽいストーリーだけど、楽しめます。

そしてやはり伊坂幸太郎が描く家族はいい!こんなへんてこりんな家族なのに、なぜかいい!

心温まる小説です。オススメ!

 

オー!ファーザー Book オー!ファーザー

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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ではまた。

 

 

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