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2010年11月28日 (日)

ペコリーマンの限界

昨日電車で、一人のサラリーマンを見た。

彼はシーツケースを持っていてどうやら出張の帰りのようだった。

僕がイスに座っていると、その目の前に彼は立った。

僕は目線を落としていたから彼の下半身しか見えなかったけど、どうやら彼は気をつけをしてしきりに窓の外にお辞儀をしているようだった。

おそらく取引先か何かの人がホームにいて、彼らと別れた直後だったんだろう。

僕の目の前のサラリーマンは発車するまでずっとペコペコとお辞儀をしていた。

スーツと靴は黒でよく手入れがされているようだったし、スーツケースも黒で、いずれもブランド物がどうかは知らないが、実に無難で、いわゆるサラリーマンらしい格好だった。

見上げてみると髪も短く清潔感があって、顔もなかなかのイケメンだった。35歳というところか。

やがて発車した。

電車が動き出しても彼は、ずっとお辞儀をしていた。どうやら見えなくなるまでお辞儀を続けるらしかった。

突然彼のお辞儀が止まった。どうやらホームが見えなくなったらしい。

彼はあからさまに“ぐったり”した。2つのつり革を両手でつかみ、その姿はせめて上半身だけでもつり革に預けたいと言わんばかりだった。

そして足の置位置を何度も変え、なんか急に落ち着きの無い人間になった。

次の駅で人が降りて僕の隣の席が空くと、彼がそこに座った。

すると彼は足を投げ出し、股を広げ、スーツケースに突っ伏すように寝た。

 

タチの悪い客。

 

何も知らずに彼を見た人はこう思ったに違いない。

実際、隣に座っていた僕はちょっとイラついた。

でも僕は、こういうサラリーマンを責める気には到底なれなかった。

ペコペコだってしたくてしてるわけじゃないだろうし、きっちりした服装も楽じゃないだろう。だったら一人になった時くらい、あんな感じでいいんじゃないかと思う。

サラリーマンは大変なんだ。

人の会社で生かされてるんだから。ペコペコするときもあるし、人の顔色窺って疲れるときもあるだろうよ。

そういうのをしないで生きていけるサラリーマンももちろんいるんだろうけど、どっちが多数派かといったらペコリーマンだよね。

もしかしたら彼は典型的な、儲けてるくせに働きすぎてる日本人なのかもしれないけど、本当は彼には、そんなに頑張らなくてもいいよ、と言ってあげたいんだけど、きっと今の日本人のペコリーマンの価値観に対してその言葉を言っても無意味だ。

だから僕は、その時は持っていなかったけど、もし持っていたらスッと手渡していたと思うよ。ビール。

 

まぁとにかくさ、僕が歳を取って誰かにプレッシャーを与えうるような立場になったときにはさ、僕と別れた後にあんな表情をさせない人間になっていたいと思うよ。

 

ビールが飲めなくなっている日本人の若者が作る社会は心配だ。

 

 

ではまた。

 

 

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