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2010年12月18日 (土)

勝った奴は偉そうに何でも言えるが、別になんてことはない。

今、百田尚樹の新作『錨を上げよ』を呼んでいる。やっと下巻も中盤に差し掛かったところだ。

これは一人の男の少年時代からの人生を描いているのだけど、人生について―というよりも「成功」について―なるほどねと思うことが書いてあったので紹介しとこうと思う。

 

(前略)しかしマスターに言わせると、麻雀くらい謎に満ちているものはないということだった。「このゲームほど人生を感じさせるものはない」というのが彼の口癖だった。

「俺の言う『人生』とは一局一局のことだ。振り込まないのは腕だ。たとえ自分以外の三人がテンパイしていたとしても、手のうちの十四枚のすべてが当たり牌ということはまずないんだ。だから十分な読みさえあれば、まず振り込むことはない。しかし腕だけではどうにもならないのは“上がり”だよ。チー、ポンシタッテ駄目な時は駄目だ。他人の喰いがあって流れが変わるのも運さ。食って良くなる時もあれば、悪くなる時もある。捨て牌と手牌の全部を合わせたって一面子だってできない時もあるんだ」

 彼が人生の成功と失敗の喩えを言っているのはわかった。要するに、失敗は腕で防げるが、成功は腕だけではできないと言っているのだ。

~百田尚樹『錨を上げよ(下)』より~

 

麻雀をやってる人の中には、麻雀の全ては腕にかかってるという人もいるだろうけど、僕みたいにただの娯楽としてやるような人は共感できるんじゃないかと思う。

そして人生においてもそうなんだろうなとも、容易に想像できる。一生懸命勉強して仕事して―手を作って―、やっと夢に手が届きそうな場合にも―テンパイしても―、最後そこに届くかどうかは―上がれるかどうかは―、結局は運次第ということになり、確率なんだと思う。上がれる確率を高めることはできるが、それが100%になるということはない。イカサマでもしない限り。

成功者が色々言うけど、結局それのほとんどは運が良かっただけなんだと思う。もちろん確率を上げる作業を着々と進めてた人もいるんだろうけど。

そして中には100%運という成功者もいる。それが家系とか家柄によるものなんだろう。生まれた瞬間に金持ち確定みたいな奴は、麻雀で言うなら「天和(テンホー)」という役満だ。もう完全に運かイカサマでしかない。

 

もうひとつ、「成功」についての面白い場面があった。

 

(前略)

「いいか、要するに何でも枠があるんだ。当たりの枠、はずれの枠だ。その数は決まっている。もちろん社会と時代で変化はするがな。誰かが当たりの枠に飛び込んだとしても、それは偶然にすぎん。そいつが入らなきゃ、別な誰かが入っている。たとえば総理大臣にしても同じだ。日本国の首相になるには偶然と幸運でできた針の穴のような細い道を通らなければならないと思われてる。しかしそいつがいなければ、所掌の枠は空いたままなんてことはないんだ」

(中略)

「大蔵省の事務次官にしてもそうだし、大相撲の横綱にしてもそうだ。レコード大賞歌手もそうなら、囲碁の本因坊だって、ダービー馬だってそうだ。さらに言うなら、しばしばカリスマと呼ばれるスーパースターの存在もそうだ。たとえば美空ひばりだってそうなら、長島茂雄だってそうなんだ。彼らがいなければ、彼らに代わる別な超人気者が生まれていたことは間違いない。なぜなら彼らは時代が要求した存在だったからだ。そういう意味ではシーザーやナポレオンや徳川家康といったところも同じなんだ。彼らもまた非常に特異な時代が生み出した稀有な枠の中に飛び込んだ存在にすぎないんだ。坂本龍馬やヒトラーだって同じことだ」

~百田尚樹『錨を上げよ(下)』より~

 

彼はこの後、でも科学者と芸術家は別だ、と言及している。

そうなんだろうな、と思った。特に、日本の首相の例えは実に分かりやすい。あそこはただの枠でしかないのはもう国民全員が感じていることだろう。まぁもちろん、そういう風土にしたのはマスコミであり、マスコミに見事なまでにコントロールされている国民なんだろうけど・・・。

違う。枠の話だ。たしかに、結局は枠なんだと思う。成功するかしないかってのは、その枠に入れるかどうか。しかも、他の人よりも早く。

「新しく枠を生み出す人もいるんじゃない?」という反論が聞こえてきそうだが、それも結局はあった枠なんだと思う。新しいとか、今までなかったというのは、それはその人にとってという問題であって、全体でみるとその枠は最初からあった。あるいは、他の枠が姿形を変えて現れただけかもしれない。おそらく、“新しい枠”の出現には、既存の枠の消失が伴っているんだと思う。

 

 

まぁ・・・だから何だということは、何もない。

ただ面白いと思っただけ。

 

 

ではまた。

 

 

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