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2011年1月 7日 (金)

ボクサーと青年と男でいう青年にあたる女

今日は夜から北風が凄かった。

北風は、帰りの僕には向かい風だし冷たいし、嫌になった。

そんな憂鬱な気分で自転車を漕いで車のあまり通らない暗い裏道に入った。

この道はいつも他の道よりも寒く感じる。別に霊感とかではない。単純に日照時間が短いんだと思う。暗いからそういう風に感じる部分もあるかもしれない。

街頭が少ないせいで、この道を通る車はいつでもハイビームだ。だから車とすれ違う時はいつもまぶしくてかなわない。いつもすれ違う瞬間まで運転席を睨んで「眩しいんだよ」と目で訴えるが、たとえその後にライトを下げてももう僕には関係がない。

そんな道でボクサーを見た。

ボクサーは数少ない街頭の下でシャドーボクシングをしていた。グレーのスウェット上下に軍手をして、頭からスウェットのパーカーをかぶっていた。絵に描いたようなボクサーだった。

ボクサーはストレート系のパンチをしきりに繰り返していた。左足が前だったから右利きなのだろう。左ジャブを突き、右ストレートを打っていた。その的が、彼の頭よりもだいぶ上だったのが気になった。頭一つ分くらい上を打っていた。そのボクサーがプロなのかアマなのかは知らないが、彼の相手はどうやらデカいらしい。そしておそらく、ひょろっとしているボクサーに違いない。それだけ身長が高くて同じ階級なのなら、そうあるべきだ。

とそんな風に考えながらボクサーの横をすり抜けようとした。ボクサーは僕の方を見向きもしない。僕はふと2つのことを思った。1つは、もしこのボクサーがただの変質者だったらどうしよう、ということだ。変質者というより、僕が想像したのは新手の通り魔で、ここを通る人を襲って楽しんでいるのではないかということだった。そうであれば僕も油断はできない。

2つめは、僕に気が付いていないがゆえに、急にステップを踏んでターンし、僕の方へパンチを繰り出して来たらどうしよう、ということだった。実際に彼は僕の方を一切見なかったから、油断できなかった。

どちらにせよ僕は、彼の横を通過する瞬間、ギリギリまで彼の足もとを見た。彼の足が動いた瞬間に、僕も何らかのアクションを起こさねばならないと思った。

しかしボクサーは相変わらずシャドーを続けるだけだった。

たぶんボクサーは、頑張ってる自分をわずかな通行者に見てもらいたいだけなんだと思う。大通りではさすがに通報などされても困るし、あからさまに迷惑になるから、人通りの少ないところを選んだのだろう。

なぜ見てもらいたいなどと僕が思ったのかというと、彼が電灯の下でシャドーをしていたこと、そして僕のことを一切見なかったことからそう思ったのだ。ただシャドーをするだけなら暗くてもいいはずだし、普通音がすれば見るだろうに見なかったのだから、気づいていながら見なかったとしか思えない。この暗い道で横を通過する人を見ないというのは異常だ。彼は他人の視線を気にしているがゆえに、そちらを気にしない振りをしていたに違いない。

目立ちたいけど目立ちたくない。

目立ちたくないけど、誰にも気づかれないのは嫌だ。

青春ですな。

ボクサーはおっさんだったけど。

 

まぁそんなことはどうでもいい。

 

その後、二人の高校生と思しき青年と、ちょっと離れたところにやはり高校生と思しき少女がいた。(女性の場合、青年にあたる言葉は何だ?)

きっとお互いがお互いを意識していた。でも決してくっつかない。

青春ですなと、僕は思った。

きっとそのまま何もないまま4人全員が家に帰り、遅くなったことで軽く親に怒られながらも、自分の部屋に入って今日のことを隣にいた同性の友人と電話で話すんだろう。あるいは、怒られたことで本当に気分が滅入り、そのまま寝てしまうんだろう。

あぁ、こいつら、まだ冬休みか。

うらやましい。

 

いや、そんなに別にうらやましくない。

 

 

ではまた。

 

 

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