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2011年2月 6日 (日)

山下貴光『少年鉄人』

を読んだ。

 

『屋上ミサイル』『ヒーローごっこ』に続く3作品目。

小学6年生の少年少女の物語だった。地味な太一にガキ大将の和真、優等生の義之と千秋。彼らのクラスに関西弁の転校生、鉄人がやって来るところから話は始まる。ただのクラスメートだった彼らは鉄人を中心に友達となり、様々な問題に立ち向かっていく。

鉄人の「世界を変える」の言葉に巻き込まれるように。

 

とても面白かった。相変わらず登場人物が爽快で気持ちがいいし、ユーモアも豊富だ。ラストはさすがにやり過ぎだろと思ったが、たぶん作者はそのやり過ぎも自覚していてやっているんだろうなと思えて、それもまたよかった。

 

これまでの作品でもそうだったけど、山下貴光の小説には「なるほどねぇ」と思えることがたくさん出てくる。それもとても面白い。

例えばこれ。

 

(前略)

「強さというものは」仙人が話をつづける。いろいろなものを見てきたのだろう小さな瞳が、こちらを見つけていた。「生まれた時から、みんな同じ量だけ持っている。それが雄々しくもなり、下品にも変わる」

 嘘だ、と叫びたかった。どう考えても鉄人や和真、それから義之の強さが、自分と同じには思えなかった。千秋にしても、ぼくよりも強い気がする。

「だが、な」仙人が声の調子を落とした。「強さは奪われ、なくしていくものなんだ。何かを諦めるたびに、何かから逃げるたびに、強さは失われる」

(中略)

「強さとは身につけるものではなく、守るものだ」

 

~山下貴光『少年鉄人』より~

 

なるほどな、と思った。強さは身につけるものではなく、守るもの。何となく納得感があった。そうすると、よく「強くなった」とか言うことがあるけど、それは「強さを取り戻した」ってことなんだな。うん、強さってそういうもののような気がする。強さなんて付け足していけるものであっていいはずがないよな。そんなことができたらこの世はピッコロ大魔王の思うがままだよ。

 

あともう一個。これはラストの方の一幕。

 

「友達の友達は、友達」そこではじめて喧嘩屋さんが、忍者さんのほうに視線をやった。「あなたの思考はとてもシンプルだ」

「悪いのかよ」

「シンプルさの利点は壊れにくいことです。友情を語るには一番いい」

 

~山下貴光『少年鉄人』より~

 

これも「はぁ~、なるほどねぇ~」と思った。シンプルは壊れにくい。じゃあこの複雑になり過ぎたこの社会ほど脆いものはないな。危ない危ない。僕はなるべくシンプルに生きて、死ぬまで生き抜こうと思う。

 

 

さて『少年鉄人』。愉快な少年たちと愉快な不良たち、たこ焼き屋に弁当にゴリラに幽霊が出てくる楽しい小説だ。

それなりにお勧め。

 

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ではまた。

 

 

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