« 堀江邦夫『原発労働記』 | トップページ | スローのすすめ »

2011年6月22日 (水)

垣根涼介『月は怒らない』

を読んだ。

 

垣根良介の最新長編。

一人の女性に3人の男が惹かれていく物語。

なんていうか説明がとても難しいんだけど、哲学的な内容だった気がする。

生きるとはどういうことなのか、とか。

問答みたいなシーンもたくさんあった。

 

その中で興味深かったのが、「名こそ惜しけれ」という言葉。

これは物語の結構なキーマンのおじいさんが言うのだけど、平安朝末期から鎌倉幕府勃興期にかけて、関東の武士たちがよく口にした言葉なのだそうだ。自分という名の存在に賭けて、恥と感じる行動や、卑怯と思える振る舞い、薄汚い嘘はつけない、という考え方。

いいな、と思う。そういう考え方。

世の中、人がこうだからとか、普通こうだからとか、そういうのが多すぎる。

大事なのは自分が作り上げてきた価値観であり、それに則った行動なのだと思う。

 

他にもかっこいい考え方があった。これは女に惚れる男の一人の、祖父とのやり取りの回想シーン。

 

 

(前略)

―人を、恨んじゃいかんじゃろ。

じいちゃんの笑い声。

人のせいにしちゃ、いかんじゃろ。弘樹。

それはみんな、おまんのせいや。人に起こることは、悪いこともいいことも含めて、みんなその当人のせいぜよ。

そして、こうも付け足した。

完結しろ、と。

自分の中で完結させい。そうすればおまんは、自分の一歩をようやく踏める。

~垣根涼介『月は怒らない』より~

 

 

人のせいにしない。

心がけていることではあるが、どうしてもしてしまうことがある。

理不尽だとか、不平等だとか思うこともあれば、嫉妬心みたいなのを持つこともある。

完結しろ。

なるほどね。たしかに、自分の中で完結させれば、そういうものは出てこないのかもしれない。

 

 

最後にもう1つ。

これは、女に惚れたもう一人の男の言葉。

 

勇気ではない。勇気は持続しない。結局のところ、明日に向かう手段は、気組みしかない。

~垣根涼介『月は怒らない』より~

 

その通りだと思った。

気組みとは心構えのこと。そういうのが大事。

勇気なんてものは実はなんでもなくて、ただの優柔不断の人間がやっと決断できることをそう表現しているだけだ。

それよりも常日頃、何を考え、そして、何を大事にしているのか。

それを行動の基準や根拠にできるもの。

そういうのが、人生をつくるんだと思う。

そしてそれは人それぞれだから、どんな気組みにしろ、そういうのを持っている人のそれを、絶対に否定してはならないんだと思う。

 

 

結局よくわからない話になったが、とにかくお勧めだ。物語も何気ハッピーエンドっぽく終わったし。

 

 

月は怒らない Book 月は怒らない

著者:垣根 涼介
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 

 

ではまた。

 

 

|

« 堀江邦夫『原発労働記』 | トップページ | スローのすすめ »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

初めまして。

トラック・バックさせていただきました。
もしかしたら、ダブってしまったかもしれません・・・
ひとつは削除お願いします。
ご迷惑おかけします。

私も垣根さんの作品は、ラテンの香りが漂い、
「他人のせいにはしない。でも、やられた事は
きっちり倍返し!」・・・みたいなところが
好きです。

投稿: 寝湖世 NOINU | 2011年8月 4日 (木) 00時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/146160/40504750

この記事へのトラックバック一覧です: 垣根涼介『月は怒らない』:

« 堀江邦夫『原発労働記』 | トップページ | スローのすすめ »